2017年8月3日木曜日

アサルトライフルを作る その3

モデルが完成したら、UVを展開します。

UVはどのようにテクスチャを描くかで開き方が変わります。
大別すると、

連続性を優先するか、

比率を優先するか、です。


上が連続性を優先した開き方で、
下が比率を優先した開き方です。

オレンジ色のエッジが繋がっているエッジになります。

連続性優先だと、繋がっているエッジは多いですが、
天面以外の面が歪んでしまっています。

比率優先だと、面は歪んでいませんが、
側面のエッジはすべて繋がっていません。

これらをパーツによって使い分けるのですが、
私はハードサーフェース系なら、基本的には比率を優先し、
歪まずに繋げられる所は繋げる、といった感じです。

特に文字や円などをノーマルマップで追加する場所などは、
歪みが全く無い状態にしないと苦労することになります。

連続性を優先するのは、コインのような丸くて薄いパーツなどでしょうか。

全てのパーツが展開し終えたら、UVの整理に入ります。


下段の2タイルがライフル本体のUVになります。
左側が茶色いプラパーツで、右側がそれ以外の素材のパーツです。
また各素材もなるべくまとめてあります。

テクスチャ解像度は

ライフル本体 4096 ×2
ホロサイト、ブースター、マガジン それぞれ 2048で作成しました。

UVタイルレベルでの面積比はライフル2タイルは揃えましたが、
それ以外は揃えずに、なるべく面積を無駄なく使うことを優先しました。

タイル内においては、各パーツのUV面積比は、
なるべく揃えるのが基本ですが、
あまりに小さくなってしまうパーツがあれば
少しだけ大きくしたりしています。

UV展開が終了したら、Quixelでノーマルマップを作成します 。

Photoshopのシェイプやテキストを活用してノーマルマップを作成します。

ディテールの殆どをモデルで起こしてしまったので、あまり作る箇所はありませんでした。


赤枠で囲った部分がノーマルで追加したディテールです。

滑り止め加工はノイズを作成してノーマル化

刻印はテキストをノーマル化

それ以外は丸や四角といった単純な形を組み合わせた画像をノーマル化しました。

この時UVが歪んでいると大変苦労、というよりUVを修正してやり直しになります。


サイトのノーマルで追加したディテールです。

ボタンの矢印はシェィプからです。
唯一浮き彫りなのにノーマルで対応した部分です。

パーティングラインは輪郭が少し乱れるブラシで細い線を描いてノーマル化。
パーティングラインはあるなら絶対にやった方がいいディテールだと思います。

ノーマルマップの作成が終わったら、テクスチャの作成に入ります。
これもQuixelで行います。

QuixelやSubstanse等のマテリアルペイント系ソフトは、
テクスチャを描く、というより、「生成」もしくは「選択」といった方が
正確かもしれません。


ここで重要なのが、ベースにどのマテリアルを選択するか、です。

そのモチーフに使われている素材が何なのか、知識として知っておかなければ、
余計な回り道をすることになります。

また、この種のソフトはAmbientOcclusion、nomal、curvatureといったマップから
汚れやキズを生成してくれますが、たとえばエッジのキズなどは
検出された全てのエッジに満遍なく入ってしまうので、どこがキズ付き易いのか
といったことを考えながら調整する必要があります。

今回はそれほど使用されていない状態をイメージして調整しました。
 


また、ロゴマークや注意書きは別に作成して追加します。
必要があればキズや擦れを追加してなじませます。


テクスチャ作成が終了したら、各種マップを書き出します。
 今回はPNGで書き出しました。









これらをMODOに読み込んで質感を設定します。












アサルトライフルを作る その2

方針が決定したら、まずはリファレンス集めです。

今回作成したMDRというライフルは数年前に開発されたばかりなので、とにかく資料が少なく、
しかもfixしていないので、毎年細部の形状が変わるというモデラー泣かせのモチーフでした。
散々調べても、データとして得られた数字は全長のみでした。エアガンもまだ発売されていません。

そこで、まずは全長のサイズの板をガイドとして作成し、
真横から撮られた写真をバックグラウンドイメージとして読み込み、
ガイドに合わせます。





ちなみに最初は古いバージョンの画像を使っていたため、
後で最新版に差し替えて形状を修正しています。

それからペンツールで個々のパーツの輪郭をなぞってベースとなる板を作成します。
形の変化の強い場所に頂点を置いていく、という感覚です。
また、この段階では細かい部分は省きます。
頂点が多いとプロポーション取りが面倒になるからです。


ベース板が出来たらそれぞれ厚みをつけていくわけですが、殆どの寸法がわかりません。
しかし、上部のレール部分は共通規格なので寸法は分かります。
またバレルは円柱なので写真合わせでも大丈夫でしょう。
後はマガジンもデータが得られやすいので参考になります。


このように分かる場所から厚味を付け、
それらを基準に残りの部分も写真の印象を頼りに
厚味をつけていきます。


最後に、これはやってもやらなくても構わないのですが、
パースが付いた写真をバックグラウンドアイテムとして読み込み、
カメラビューで設定します。
そしてカメラビューでアングルを合わせて形状を確認するという手法です。

しかし、これは写真を撮影したカメラのレンズのミリ数が分からないと
かえって混乱のもとになるので注意が必要です。
今回は分からなかったので勘でミリ数をを合わせ、ざっくりと確認しました。


マテリアルの透明度を上げると、背景が透けて見えるので確認が楽です。

基本的なプロポーションが決定したら、形状の作りこみに入ります。
サブディビジョン等は使用しないので、丸い部分には最初から多くポリゴンを割きます。


この段階では多角形ポリゴンもたくさんあるし、エッジの逃がしも適当です。

そして素材ごとにスムージング角度を設定し、(私は大体22.5~60度で設定します)
それに準じてリファレンスの印象になるまで、とくに丸みのある部分に線を増やしていきます。
ビューポートでのハイライトの入り方を基準にすると分かり易いと思います。
この段階である程度質感が感じられるまで詰めます。

次に穴が開いている部分をブーリアン等で開けます。私が使うのは主にスライスです。


ここで私は実際に開けたい穴より少し大きめにスライスしてから、
面ベベルで実寸に合わせます。
こうして外周に押さえのエッジを入れておけば、ポリゴンモデリングにおいても、
その場所だけシェーディングをキリッとさせたりできますし、
後々気が変わってサブディビジョンモデルに変更する場合も楽です。

私はポリゴンモデリングであるならば、円の穴なら最低でも16角以上で開けます。


サブディビジョンを使わないのですからエッジの逃がしも楽ですし、贅沢に割いてします。
それに、多いものを減らすより、少ないものを増やす方が大変です。

また、エッジの逃がしを予め想定して本体側にも適切なエッジを加えておきます。
エッジの逃がしが不適切だと針のようなポリゴンが発生し、
シェーディングに悪影響を与える場合があります。





画像は一例です。平面なら大丈夫かもしれませんが、
曲面が絡むと問題が発生しやすいです。

筋彫りや浅い凹みなどは、当初はノーマルマップで済まそうかと考えていましたが、
輪郭に影響を与える部分も多いため、
結局刻印以外はモデルで作ってしまいました。


フラッシュハイダーのような複雑な形状のものは、
初めからたっぷりと割った円柱をベースに作りました。




浮き彫りになっているロゴなどもモデルで起こして挿しこんでいます。
「エッジ丸め幅」機能でなじませてくれるので大丈夫です。



ロゴも凹みであればノーマルマップを使ったでしょう。

レール部分は凸部を置いただけで、繋げてもいません。
「エッジ丸め幅」があるから大丈夫です。


 こうしてデティールを起こし終えたら、モデルは完成です。




次はUV展開です。


アサルトライフルを作る その1


今回はMDRというライフルを作ってみました。
近頃は殆ど物理ベースのワークフローで作るため、
ソフトやレンダラーのオペレーションの差は少なくなってきました。
なので最近の個人製作は最後までMODOで行っています。

モチーフが決定したら、次はどのように作るかを決めます。

ハードサーフェースに限らず、モデリングには幾通りかの手法があります。

1 サブディビジョン等でモデリングしてUV展開、質感付け
  (仕様的にデータ量に余裕のある映像系の案件で主に使用される) 

2 サブディビジョン等で作成したハイメッシュデータをガイドにリトポロジー
 を施したローメッシュをUV展開してノーマルマップをベイクし質感付け。
 (仕様的にデータ量に余裕の無いリアルタイム系の案件で主に使用される)

3 サブディビジョン等を使用しないポリゴンモデリング、UV展開、質感付け。 
 (映像、リアルタイム問わず、無機的な背景やプロップで主に使用される)

大きく分けるとこの三通りでしょうか。

今回は3で進めることにしました。

本来、銃のようなキャラの絡むプロップはアップで映ることも多いので、
1や2のやり方が主流なのですが、
MODOの機能を上手く使えば大丈夫なのではと考えて3を採用しました。
また、3つのうち最も時間が掛からないというのも大きな理由です。

そのMODOの機能とは、マテリアルのパラメーターにある「丸めエッジ幅」です。


 これはエッジをレンダリング時に指定した幅だけ丸めてくれる機能です。
凹凸どちらにも利かせることが出来、ぶっ挿した場所にも効果があります。
ただし、ノーマルマップと同じく輪郭には機能しないので、あまり大きな幅での
使用は避けた方がよいでしょう。


この機能を使用し、最小のエッジには丸め(ベベル)を掛けないという方針でモデリングしていきます。






2015年10月27日火曜日

観察力について その2

たとえば、2人の人間がある料理を食べて、
A「辛くてうまい!」
B「素材は~、調理法は~、調味料は~を使用している」
と語ったとする。
A,B両氏どちらがその料理を再現できる可能性が高いか、という話で、明確に「言語化」できるかどうかが、その目安のひとつになると思う。
「言語化」したということは、「意識した」ということで、「意識した」ということは、別の形で出力できる可能性が高いということだ。
食事は殆どの人が日々積み重ねる経験だが、ただ漫然と食べていてばB氏のように言語化することはできない。B氏は食べるときも興味をもって考え、感じながら食べ、実際に料理もしているとしたら、同じ行為を同じ回数繰り返していたとしても、A,B両氏の得られる経験値は桁が違う。
CG製作においても、漫然と作っていては得られる経験値は少ない。
では、漫然と作らないためには、いったいどうすればいいのか。
最もお手軽なのが「言語デッサン法」ではないかと思う。
これはモチーフから感じた情報を言語化していく方法で、その言語量自体が情報取得能力の目安として一目で計れるという点で優れていると思う。

たとえば目の前にある「黒い石」を観察したとする。

四角く角張っている。色は青味がかった黒。所々に白い斑点のようなものがある。窪だ場所には灰色の砂のようなものが溜まっている。キラキラと細かく反射している。ただし反射そのものはぼやけている。基本的に表面の肌理は粗いが、指で触ると滑らかに感じられる程度。大きな剥離跡は面によって法則性が異なる。数箇所に極めて直線的な剥離跡がみられ、その方向はどの面にあっても一定・・・
というように、感じたことを書き尽くしたら、次は視覚、触覚だけでは得られない「調べたこと」を追加する。
「黒い石」はブラックトルマリンの原石ということが判明した。
トルマリンのIOR1.624 白い斑点は白い結晶らしい。
 
次に取り出した各情報を分類する。
形状
四角く角張っている。
大きな剥離跡は面によって法則性が異なる。
数箇所に極めて直線的な剥離跡がみられ、その方向はどの面にあっても一定


質感
青味がかった黒。(diffuse)
所々に白い斑点のようなものがある(結晶)(diffusereflection)
窪んだ場所には灰色の砂のようなものが溜まっている。(diffusereflection)
キラキラと細かく反射している。(reflection)
反射そのものはぼやけている。(reflection)
基本的に表面の肌理は粗いが、指で触ると滑らかに感じられる程度。(bump)
IOR1.624 (fresnel IOR)
) 白い斑点(結晶)や灰色の砂は、必要に応じて質感を分ける可能性アリ

といった感じで分類が済んだら、各要素の反映に取り組む。
とりあえずは形状から反映していくが、注意してほしいのは、決して複数の要素をいっぺんに反映しようとしてはいけない、という点である。そうすると目標がぼやけ、最悪見失ってしまう恐れがある。特に質感は、diffuseのみ、bumpのみ、reflectionのみ、と確実に分けること。
反映し終えたと思ったら、その要素はリストから消す。
全ての要素が反映し終えた時点の結果が意にそぐわなければ、各要素を見直し、それでもダメならもう一度モチーフを観察して新しい情報を拾い上げる。

これを繰り返せば、情報取得量は確実に上がり、巷で言う「観察力」がついた、ということになる。「観察力」が増して実際に手を動かし続ければ、「造形力」も自然と上がってくる。

上達に必要な「興味を持ち」「考えて」「手を動かす」という一連の流れを噛み砕いて記すとこういったことになるのではないか。

以上で転載は終了です。
しかし、改めて読んでみると、「実際にやる人はいないだろうなあ・・・」って感じですね。
個人的には獲得経験値が1.3倍は増えると思っているのですが。

観察力について その1

目標を「リアル」という点に絞った話。
「画としての魅力」については斟酌していない。
クオリティの高い物を作る場合に必要なことに、
「本物を見ろ」
「よく観察しろ」
という2点がよく言われる。
CGや造形を始めたばかりの人は、それだけ言われても、
「見てるよ」「観察してるよ」と思うだろう。
なぜ実物がいいのか、観察とは何かを、わかりやすく噛み砕いて伝える方法はないか常々考えていた。とりあえず記しておく。

1 情報量について(数値については適当)
実物 (情報量10000) ここには重さ、手触り、味、匂いなども含まれる。
写真 (情報量6000)
フォトリアルCG (情報量3000) 
この場合、リアルを感じさせるのに必要最低限な情報量を3000としている。

2 情報取得能力について
実物からの情報取得能力30%の人
実物 (情報量10000*0.33000)
写真 (情報量6000*0.31800)
フォトリアルCG (情報量3000*0.3900)
 単純計算だとこうなるが、実際はこうならない。下に下がるにつれて汲み取りやすい情報のみとなっていくから、その取得割合は増えていく。
実物 (情報量10000*0.33000)
写真 (情報量5000*0.52500)
フォトリアルCG (情報量3000*0.82400)
といったところか。
ここに知識や経験を加味して上手な人はクオリティを上げているのではないか。
 実際、実物からの情報取得能力30%というのは相当高い数値で、経験の乏しい、訓練を積んでない人なら高くて10%くらいだろうか。
ならば、やはりまずは実物を観察するべきではないだろうか。

といった文章を以前書いたのですが、 どうせ陽の目を見る機会もないので、ここに転載しちゃいました。もう少し続きます。

2015年3月20日金曜日

続、デッサンについて

「観察力を鍛えるにはデッサンがいいと昔から言われています」

「なぜデッサンをしたほうがいいんですか?」と聞かれてそう答えても
質問者は納得しません。一度もデッサンをしたことのない人ならなおさらです。

よりよい回答を暇をみては考えていました。
今ならこう答えます。

「デッサンは明確に意図しないと画用紙に落とし込めないから」

形状、質感、光源、すべての要素においてです。
「なんとなく」鉛筆を乗せても絶対にそうなりません。

要するに、明確に意図する行為を「観察」、そのポイントの数が「観察力」の強さになるのでは、と現状では考えています。
そして、その意図を正しく何らかの形で出力する力が「造形力」。

ということは、モチーフを観察して明確に意図し、別の形に出力するなら、その形が何であろうと効果は同じということにならないでしょうか。

ですから、こう続けます。

「・・・だけど、 しっかりと観察して反映できるなら何でもいいんじゃないかな。鉛筆で画用紙だろうが、粘土だろうが、3DCGだろうが」


「ただし、3DCGだったら質感、ライティングまでやること。じゃないと他の手法より得られる経験値は落ちるからね」

続きます。









2015年3月9日月曜日

祝!3D Total 掲載!

3D Totalに掲載されました!

寺子屋生の作品が。

しかも一年半くらい前に。

学生で3D Totalに載るなんて、本当にすごいことだと思います。



www.3dtotal.com/index_gallery_detailed2.php?id=5622&cat=sci-fi

正直に言いましょう。すっかり忘れていました。

この頃はブログの更新の癖も無かったし、本のプロジェクトが動き出し始めた頃だったので。

ゴメンなさい。S君。

この作品はS君にとって4作目、質感までしっかりと取り組んだのは初めての作品だったと記憶しています。

製作は全てmayaで質感はmentalray、コンポはphotoshopです。

製作期間は一年くらいだったと思います。こんなに時間を掛けられるのも学生ならではですね。うらやましいと何度も思いました。

これは寺子屋の基本方針ですが、どんなに時間が掛かろうと「本人が納得するまで」ひとつの作品に打ち込ませます。

そして口は出すが手は出さない。仮にデータをいじってもその場で捨てて本人には渡しません。

もちろんアドバイスはしますが、データは全て本人の手によるもの、考えながら手を動かした結果です。 質感については特に苦労していましたが、そのトライ&エラーの経験も全て財産になっているはずです。

S君はこの作品を作るにあたり、初めから3D Totalに載せたいという目標をもって臨んでいました。

掲載が決まった時は本当に嬉しそうでしたね。

一年半遅れだけどおめでとう!S君!