2015年10月27日火曜日

観察力について その2

たとえば、2人の人間がある料理を食べて、
A「辛くてうまい!」
B「素材は~、調理法は~、調味料は~を使用している」
と語ったとする。
A,B両氏どちらがその料理を再現できる可能性が高いか、という話で、明確に「言語化」できるかどうかが、その目安のひとつになると思う。
「言語化」したということは、「意識した」ということで、「意識した」ということは、別の形で出力できる可能性が高いということだ。
食事は殆どの人が日々積み重ねる経験だが、ただ漫然と食べていてばB氏のように言語化することはできない。B氏は食べるときも興味をもって考え、感じながら食べ、実際に料理もしているとしたら、同じ行為を同じ回数繰り返していたとしても、A,B両氏の得られる経験値は桁が違う。
CG製作においても、漫然と作っていては得られる経験値は少ない。
では、漫然と作らないためには、いったいどうすればいいのか。
最もお手軽なのが「言語デッサン法」ではないかと思う。
これはモチーフから感じた情報を言語化していく方法で、その言語量自体が情報取得能力の目安として一目で計れるという点で優れていると思う。

たとえば目の前にある「黒い石」を観察したとする。

四角く角張っている。色は青味がかった黒。所々に白い斑点のようなものがある。窪だ場所には灰色の砂のようなものが溜まっている。キラキラと細かく反射している。ただし反射そのものはぼやけている。基本的に表面の肌理は粗いが、指で触ると滑らかに感じられる程度。大きな剥離跡は面によって法則性が異なる。数箇所に極めて直線的な剥離跡がみられ、その方向はどの面にあっても一定・・・
というように、感じたことを書き尽くしたら、次は視覚、触覚だけでは得られない「調べたこと」を追加する。
「黒い石」はブラックトルマリンの原石ということが判明した。
トルマリンのIOR1.624 白い斑点は白い結晶らしい。
 
次に取り出した各情報を分類する。
形状
四角く角張っている。
大きな剥離跡は面によって法則性が異なる。
数箇所に極めて直線的な剥離跡がみられ、その方向はどの面にあっても一定


質感
青味がかった黒。(diffuse)
所々に白い斑点のようなものがある(結晶)(diffusereflection)
窪んだ場所には灰色の砂のようなものが溜まっている。(diffusereflection)
キラキラと細かく反射している。(reflection)
反射そのものはぼやけている。(reflection)
基本的に表面の肌理は粗いが、指で触ると滑らかに感じられる程度。(bump)
IOR1.624 (fresnel IOR)
) 白い斑点(結晶)や灰色の砂は、必要に応じて質感を分ける可能性アリ

といった感じで分類が済んだら、各要素の反映に取り組む。
とりあえずは形状から反映していくが、注意してほしいのは、決して複数の要素をいっぺんに反映しようとしてはいけない、という点である。そうすると目標がぼやけ、最悪見失ってしまう恐れがある。特に質感は、diffuseのみ、bumpのみ、reflectionのみ、と確実に分けること。
反映し終えたと思ったら、その要素はリストから消す。
全ての要素が反映し終えた時点の結果が意にそぐわなければ、各要素を見直し、それでもダメならもう一度モチーフを観察して新しい情報を拾い上げる。

これを繰り返せば、情報取得量は確実に上がり、巷で言う「観察力」がついた、ということになる。「観察力」が増して実際に手を動かし続ければ、「造形力」も自然と上がってくる。

上達に必要な「興味を持ち」「考えて」「手を動かす」という一連の流れを噛み砕いて記すとこういったことになるのではないか。

以上で転載は終了です。
しかし、改めて読んでみると、「実際にやる人はいないだろうなあ・・・」って感じですね。
個人的には獲得経験値が1.3倍は増えると思っているのですが。

観察力について その1

目標を「リアル」という点に絞った話。
「画としての魅力」については斟酌していない。
クオリティの高い物を作る場合に必要なことに、
「本物を見ろ」
「よく観察しろ」
という2点がよく言われる。
CGや造形を始めたばかりの人は、それだけ言われても、
「見てるよ」「観察してるよ」と思うだろう。
なぜ実物がいいのか、観察とは何かを、わかりやすく噛み砕いて伝える方法はないか常々考えていた。とりあえず記しておく。

1 情報量について(数値については適当)
実物 (情報量10000) ここには重さ、手触り、味、匂いなども含まれる。
写真 (情報量6000)
フォトリアルCG (情報量3000) 
この場合、リアルを感じさせるのに必要最低限な情報量を3000としている。

2 情報取得能力について
実物からの情報取得能力30%の人
実物 (情報量10000*0.33000)
写真 (情報量6000*0.31800)
フォトリアルCG (情報量3000*0.3900)
 単純計算だとこうなるが、実際はこうならない。下に下がるにつれて汲み取りやすい情報のみとなっていくから、その取得割合は増えていく。
実物 (情報量10000*0.33000)
写真 (情報量5000*0.52500)
フォトリアルCG (情報量3000*0.82400)
といったところか。
ここに知識や経験を加味して上手な人はクオリティを上げているのではないか。
 実際、実物からの情報取得能力30%というのは相当高い数値で、経験の乏しい、訓練を積んでない人なら高くて10%くらいだろうか。
ならば、やはりまずは実物を観察するべきではないだろうか。

といった文章を以前書いたのですが、 どうせ陽の目を見る機会もないので、ここに転載しちゃいました。もう少し続きます。

2015年3月20日金曜日

続、デッサンについて

「観察力を鍛えるにはデッサンがいいと昔から言われています」

「なぜデッサンをしたほうがいいんですか?」と聞かれてそう答えても
質問者は納得しません。一度もデッサンをしたことのない人ならなおさらです。

よりよい回答を暇をみては考えていました。
今ならこう答えます。

「デッサンは明確に意図しないと画用紙に落とし込めないから」

形状、質感、光源、すべての要素においてです。
「なんとなく」鉛筆を乗せても絶対にそうなりません。

要するに、明確に意図する行為を「観察」、そのポイントの数が「観察力」の強さになるのでは、と現状では考えています。
そして、その意図を正しく何らかの形で出力する力が「造形力」。

ということは、モチーフを観察して明確に意図し、別の形に出力するなら、その形が何であろうと効果は同じということにならないでしょうか。

ですから、こう続けます。

「・・・だけど、 しっかりと観察して反映できるなら何でもいいんじゃないかな。鉛筆で画用紙だろうが、粘土だろうが、3DCGだろうが」


「ただし、3DCGだったら質感、ライティングまでやること。じゃないと他の手法より得られる経験値は落ちるからね」

続きます。









2015年3月9日月曜日

祝!3D Total 掲載!

3D Totalに掲載されました!

寺子屋生の作品が。

しかも一年半くらい前に。

学生で3D Totalに載るなんて、本当にすごいことだと思います。



www.3dtotal.com/index_gallery_detailed2.php?id=5622&cat=sci-fi

正直に言いましょう。すっかり忘れていました。

この頃はブログの更新の癖も無かったし、本のプロジェクトが動き出し始めた頃だったので。

ゴメンなさい。S君。

この作品はS君にとって4作目、質感までしっかりと取り組んだのは初めての作品だったと記憶しています。

製作は全てmayaで質感はmentalray、コンポはphotoshopです。

製作期間は一年くらいだったと思います。こんなに時間を掛けられるのも学生ならではですね。うらやましいと何度も思いました。

これは寺子屋の基本方針ですが、どんなに時間が掛かろうと「本人が納得するまで」ひとつの作品に打ち込ませます。

そして口は出すが手は出さない。仮にデータをいじってもその場で捨てて本人には渡しません。

もちろんアドバイスはしますが、データは全て本人の手によるもの、考えながら手を動かした結果です。 質感については特に苦労していましたが、そのトライ&エラーの経験も全て財産になっているはずです。

S君はこの作品を作るにあたり、初めから3D Totalに載せたいという目標をもって臨んでいました。

掲載が決まった時は本当に嬉しそうでしたね。

一年半遅れだけどおめでとう!S君!




セミナー終了

どうにかセミナー終了することができました。

「無事」終了とはちょっと言いづらい。

後で知ったのですが、どうやら声が聞こえづらかったようで、せっかく来ていただいたのによく聞こえなかった方には大変申し訳なく思っています。
テストの時は大丈夫っぽかったのですが、本番になって緊張して声が小さくなっていたのかもしれません。手もガクガク震えていたし。

自分は搭載されているメモリが少ないのでマルチタスクが出来ない。つまり操作しながら喋ることが困難だということは事前の自主トレで分かっていたのですが、「オペレーションを録画しておく」というアイデアを思いついたのが当日の昼過ぎで手遅れでした。もう少し前に思いついていれば・・・

時間も限られていたので大分駆け足になってしまいましたが、「ハイエンド3D」に載せたメカと女性キャラの製作工程を解説しました。

その席で多少MODOの機能を紹介させていただきました。

しかし、その場では言えなかったのですが、私がMODOで最も評価しているのは、ビューポートの操作性、選択のしやすさ、豊富なアクションセンターの三点です。

この三点がモデリングスピードにおける重要な要素であると考えています。

私は「固い物」でも「柔らかい物」でも頂点を三軸、二軸同時に動かすことを滅多にしないので、アクションセンターは重要です。特にアクションセンターのエレメントモードは、選択した場所とは別の頂点、エッジ、面の法線方向を出してくれるので重宝しています。

なぜ一軸移動しかしないのかというと、パースビューで二軸以上を同時に動かすと、どのように頂点が動いたのか脳で把握できなくなるからです。その視点では望んだ場所に頂点を配置できたと思っても、視点を変えるとおかしくなっている場合が多いのです。それを直そうと再び三軸で動かしたら永久ループに嵌ってしまいます。

セミナーでお話した、「全ての頂点に明確な意図を」や「断面を重視する」という話にも繋がりますが、少ない頂点数であればあるほど、この点は重要になります。

もし、モデリングの初期段階の「プロポーション取り」や「面出し」の時点で上手くいかなかったら、上記の点を意識 してみてください。

2015年2月24日火曜日

モデ鬼本が出版されました!

motokiです。

ついに本が出版されました!





http://amzn.to/1wqof7b
本の出版に携わった全ての方々、本当にお疲れ様でした!

周囲の理解と協力がなければ実現しないプロジェクトだったと思います。
「そんなのやってないでこっちの案件手伝えよ」と思っても口にしなかった同僚達にも感謝ですね。

そして本を購入していただいた皆様、本当にありがとうございます!
少しでも製作のヒントになれば幸いです。











2015年2月19日木曜日

出版記念セミナー

motokiです。

本の出版を記念してセミナーを開催することになりました。

http://modogroup.jp/events/2672.html

本の出版記念と銘打ってますが、MODO JAPAN GROUPの後援なので、話すのは本を製作したメンバーのなかでMODOをメインツールとして使用した私だけです。他のメンバーの話を聞きたかった方々には申し訳ないですが、来ていただける方々には、少しでもお役に立てる話ができるよう構想中ですので、どうか宜しくお願いします。

タイムテーブルでは、私の作った「メカ」と「女性」で40分づつ割り当てられています。計80分は私にとっては途方も無く長い時間ですが、それぞれの作品の製作手順を詳細に説明するには圧倒的に足りません。どうにか要点を絞らなければなりませんが、製作者自身である私には難しい問題だったりします。

もし申し込まれる方がいましたら、申し込みページに「登壇者に対する要望」という項目がありますので、何か書いていただけると参考になってありがたいです。

実は、私がMODOのセミナーに登壇するのは今回で2回目だったりします。

それは約9年前、まだCGを始めて間もない頃、コネがコネを呼んで社内でMODOを使っていた人間が数人登壇することになり、そのなかの一人が私でした。CGどころかMODOのことも使い始めたばかりでよく理解していない自分が、いったい何を人前で話せばいいのかと最後までまとまらず、MODOをポチポチといじりながら、訳の分からんことを口走ったという苦い記憶です。

今回はそうならないように気をつけねば。